こんばんは、ゆる登山家です。
この記事を書いている外からは鈴虫の声が静かに聴こえて、秋だなあとしみじみ感じます。恐ろしい猛暑があっという間に過ぎていきました。
今回は、前回に引き続き『LIFE SHIFT リンダ・グラットン著』の中から、長い100年人生を豊かに過ごすための考え方や生き方を少しご紹介したいと思います。
本書は400ページの中にギッシリとリンダ氏の主張や考察が詰め込まれているので、全体を網羅することができませんが、私が特に共感した点や多くの方に参考になるのでは?と感じた点を中心にまとめています。
少しでも興味を持って頂けると私としては最高なのですが、一度読んでおいて損はない書籍だと思いますよ。
それでは、読んでいきましょう!
人生のステージはどうなるか?
(上)でも少し触れましたが、100年間を豊かに生きようと思いと必然的に働く期間が延びることになります。
どれくらい変わるかを簡単に説明すると、下の様になります。
- 「教育」 ⇒ 「仕事」 ⇒ 「引退」(いわゆる日本の団塊世代くらいの人、平均寿命70歳)
- 「教育」 ⇒ 「仕事」 ⇒ 「仕事」 ⇒ 「引退」(団塊ジュニアくらいの人、平均寿命85歳)
- 教育」 ⇒ 「仕事」 ⇒ 「教育」 ⇒ 「仕事」 ⇒ 「教育」 ⇒ 「仕事」 ⇒ 「引退」(団塊ジュニア以降の人、100年生きる可能性が高い)
100年間を豊かというか不安なく生きていくためには、1のような生活は破綻します。65歳で引退をして35年間を年金で生きていくことができないからです。
なんか暗い気持ちになってしまいますね・・・。長い人生はやっぱり苦行なのかと・・・。
私たちがこれから生きるステージは3のように途中で「学び直し」をして、新たなキャリアを築いて長い人生を乗り切ることが必要になるそうです。
「学び直し」と聞くとなんか前向きになりにくい気がしますが、特別難しい教育を受けることが必要というわけでは無く、古くなった経験や知識を新しく書き換えることが必要になってくるとリンダ氏は説明しています。
その辺については次の『人生の資産を考える』にもつながっていきます。
人生の資産を考える
長く生きるためにはすでに述べたように「学び直し」の期間が必要になってきます。そのためにはまず、自分がもっている資産についてしっかりと認識しなくてはなりません。
資産といってもいわゆる金融資産だけではなく人的資産やスキル等の無形資産についてよく考える必要があります。
リンダ氏は、無形資産を次の3つに分類しました。
- 生産性資産
- 活力資産
- 変身資産
1の生産性資産はスキルと知識で構成される資産で、仕事で成功を収めるための資産ですのでイメージしやすいですね。無形資産としては一番メジャーな感じがします。
2の活力資産は肉体的・精神的な健康・幸福を指すそうです。長期追跡調査ではこの資産が多いことが人生の良い人生の要素の一つとのこと。
そして、3の変身資産が私が大きく刺激を受けた考え方です。これは100年の人生を生きる上で、必ずやってくる変身(キャリアチェンジ)の時に必要となる資産で、新しい経験に対する開かれた姿勢や多様な人的ネットワーク等が含まれると説明されています。
古い知識やスキルをアップデートし、家族や友人等の関係から活力をもらい、変身の時には柔軟な考え方で大きく変化するという人生が、100年人生では必要になるとリンダ氏は説いています。
確かに、変身資産を蓄えるという意識がないと新しい行動が起こせず、ただ長いだけの人生になってしまうかもしれませんね。
自分は変身資産が蓄えられているだろうかと少し不安になります・・・。
人生の資産をうまく活用して稼いだお金はどのように使うべきか?について次に紹介します。
これからのお金の使い方
リンダ氏は100年の人生のお金について考える時、大事なことは次の2つだと主張しています。
- 自己効力感(自分ならできる)
- 自己主体感(みずから取り組む)
1の自己効力感については、人生の資金計画を立てて、それを実践するためにまずは自分の金融リテラシーがどれくらいあるかを認識することが大事だとリンダ氏は述べています。
「老後2000万円」問題が日本でも話題になり、この頃から投資に関する情報が急増した気がしますね。私のような独身者は人生設計自体がシンプルなので、「とりあえず、できるだけ貯蓄と資金運用で残せればいいかな」くらいで何とかなりそうですが、家庭がある方々はお金に関する知識を自分で増やしていかないとかなり厳しい未来になりそうな気はします・・・。
残念ながら本書では資産形成の具体的な方法については述べられていないので、まず金融に関する「自己認識」から始めて、「なんとかなりそう」と思えるように計画する必要がありそうですね。
2の自己主体感については、100年の人生ではセルフコントロールが重要と説明されています。
人はどうしても未来に備えて現在を我慢することが難しく、将来お金が必要と分かっていても実行ができないことが多いですね。私も「まあ今月の1万円くらいは遊んでもいいかな」なんて毎月思っています・・・。典型的ですね・・。
これは心理学では「現在バイアス」と呼ばれ、人は目の前の満足・誘惑に非常に弱いと研究結果で判明しているそうです。
「現在バイアス」に負けない対策として、自動的に預金口座から定期預金に毎月移動される等の自分の意志で左右されない方法が有効と説明されています。
確かにネットで「上手なお金の貯め方」みたいな検索ではよく出てくる方法ですね。
実は私も少し始めてみましたが、最初は少し不安ですが慣れると忘れてしまって気にならなくなります。
結局、人生100年って・・・
本書でリンダ氏が主張している内容で、「これは大事じゃないか」と感じた点をザックリまとめてみましたが、結局のところ100年間の人生はどうなんでしょうか?
長い間幸福?それとも苦行が続く?
本書を読んでの私の感想としては、「若い時からかなりよく考えて備えないと、苦行の可能性が高い」と思います。リンダ氏が取り上げている変化について早く知って、考えて実行に移すことが大事なのですが、実際にできる人は少なめではないかと思ってしまいます。
本書の後半でリンダ氏は、個人以外に教育機関や政府が取り組むべき課題も挙げて社会全体で考える必要性を主張しており、その結果として多くの人の長く豊かな人生が築けるはずだと〆ています。
人生が長くなると、健康であれば「やり直しがきく」と考えられなくもないですから多くの人の人生設計の考え方の一つとして、本書を手に取ってリンダ氏の深い考察をもっと読んでみてもよいのではないかと思います。
ではでは。
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