とうとう梅雨の季節になりましたね。
定期的に自然に触れたい私としては、中々晴れなくなるこの季節はやや憂鬱です。
ジメッとした中、ストレスフルな会社員生活を送っていると、春や夏にはそこまで感じなかった不満が更に強くなることってありませんか?
「こんなに色々考えてるのに、なんで理解してもらえないんだ?」とか「真剣に問題に向き合っているのに、そんな仕打ちはひどい!」といった少し内向きな感じの不満・・・。
「真面目にやってるつもりなのに、全然報われない」という感覚は、ほとんどの人が感じたことがあると思います。
そこで! そんな「真面目なのに報われない」という問題に、心理面からアプローチした興味深い書籍を紹介したいと思います。
その名も『まじめな人ほど報われない!?』です。
そのまんまで分かりやすいですね!
まずは著者の清水なほみ氏のプロフィールから
メスの代わりに言葉で治すコーチング医。
中学校時代にいじめにあった経験から、「脳と心のしくみ」に興味を持つようになり、「人は『本当の自分』を生きていない時に体や人生に不具合を起こす」と気づく。病気からのメッセージを伝え、患者が「本当の自分」として生きるサポートをするために医師になるが、大学病院で医師としての在り方を全否定されてうつ状態になる。自分の理想の医療を探求するために単身上京。最先端の女性医療や代替医療を学び、女性専用クリニックを開業。
本書著者紹介より
私が本書を読み始めて最初に意外性を感じたのは、清水氏が精神科医ではなくて産婦人科医の先生だったことです。
著者プロフィールにあるように、ご自身のメンタル不調の経験から精神医学に興味を持たれて、現在は言葉でのアプローチを通して「病気を根本解決する」という診療をされているそうです。
清水氏は「自分で自分満たして、本来の力を発揮する必要がある」という考えの基、本書で「メタ思考」というものを読者にインストールしてもらいたいをと執筆されました。
「メタ思考」とは?そしてそれを活かすとどうなるのか?本書を読んで私も参考になると感じた2点を紹介したいと思います。
それでは、読んでいきましょう!
メタ思考って?
「メタ」という意味は、「超越した」「高次の」といった意味で使われることがあるそうで、本書では「ひとつ上の視点から全体的に眺める」という捉え方で説明されています。
清水氏いわく「この本では「メタ」つまり、「いち段階上の次元」からものごとを捉えて、それを「活かす」ことができるようにする「脳の動かし方」を「メタ思考」として伝えています」
いわゆる「俯瞰したものの見方・客観的に捉えようとする見方」といった感じですね。
本書で清水氏が伝える最大のポイントは、「報われないと感じるのは”自分だけの特等席”に着いていないから。”自分だけの特等席”に着くには、物事の捉え方を変えないといけない」ということです。
それでは”自分だけの特等席”につくために、メタ思考をどのように活かすといいのでしょうか?
色んなメッセージを受け取る
私が本書を読んで、面白いなと感じたポイントの一つが、「色々な現実からメッセージを受け取って、そのメッセージに沿った生き方をする」という風に説明されているところです。
その中に、「病気からメッセージを受けとる」「感情からメッセージを受け取る」というのがあります。
清水氏によると、「病気はどちらかというと無いほうがよいものと考えてしまいがちだけど、”病気”を通して、本人が気づいていない”望み”をかなえていることがしばしばある。病気は【そのままの方向で進み続けたら、本来の目的地から、どんどん遠ざかってしまいますよ】ということを私たちに教えに来てくれています」ということです。
面白い捉え方ですよね。
体や脳が今の生き方にブレーキをかけている状態ということですが、確かに「なんか頭痛がひどい」とか「原因がわからないけど、お腹が痛い」というのは、何かしらのメッセージが体から出ていると考えれば、一旦立ち止まって普段の生活を見直す機会になるかもしれません。
私も2年くらい前までは、何か体の調子が悪くても薬とか栄養剤とかお酒を飲んで「なんとかなるでしょ」と思っていましたが、適応障害を経験してからは、体の不調には少し敏感になりましたね。「頭痛がひどい → 仕事のストレスを抱えすぎかも → 少し仕事のペースを落とすor上司・部下との距離を少し空ける」みたいな発想です。最初は「これでいいのかな?」と思いますが、自分の気力がある状態を維持した方が、結果的にはいい仕事につながりますからね。
清水氏によると、この捉え方は感情にも応用できるようです。
「どんな感情も、そのとき必要だから発生します。その感情が、あなたに伝えたい”何か”があるはずです」
- 不安:準備不足がある。対策が必要。
- 怒り:受け取ってもらえなかった悲しみと拒絶されたと感じた事に気づく
- イライラ:自分の中にある意欲や情熱に気づく。自分のルールを周りに押しつけていないか確認する
といったような感じみたいですね。
病気と同じように、ある感情(不安・怒りなど)を感じた時に、「なぜこんな感情になるのか?」を考えて、我慢するのではなく、「この感情からのメッセージをヒントに自分の力を発揮する」ことに目を向けることで、「報われない」という感覚から、前向きな気持ちにシフトできそうですね。
過去は癒やすな!
もう一つ興味深かったポイントが、「過去を癒やすな!」という主張です。
これは、私はかなり目からウロコでした。
色々なメンタルヘルス関連の書籍を読むと、「過去を振り返って自分を癒やす」とか「過去は振り返らない」といった方法が多いと感じましたが、清水氏は過去の自分に対して、”何度も繰り返し、傷ついた自分を癒やそうとするする”ことは逆効果になると説明されています。
清水氏の主張のポイントは「つらい過去を”つらい感情のまま”癒やそうとせず、どういった形なら自分にしっくりとくる結末だったか、という風に過去を捉え直すことで、過去を完了させることができる」ということのようです。
ちょっと難しいですが、要は「辛かった、悲しかったと何度も感じても意味が無い、ということで、反省と振り返りで過去を乗り越えよう」ということですね。
実践はなかなか難しいと思いますが、とりあえず「過去は癒やすな!」というポイントだけは覚えておいて、冷静に振り返る努力をしていきたいですね。
報われない感を少なくするために
今回は、言葉を通しての根本解決を目指されているコーチング医・産婦人科医の清水なほみ氏の著書『まじめな人ほど報われない!?』から、興味深いポイントを2つ紹介しました。
本書は、物事の捉え方を変える「メタ思考」を使って、様々なパターンでのメタ思考活用術も紹介されており、この記事で載せていない「未来型メタ思考」も分かりやすく説明されています。
「なんか努力が報われない」や「とりあえず我慢すればなんとかなる」という風に空しさやストレスを感じている方には是非手に取って読んでもらいたいですね。
最後に、本書で紹介されていたアインシュタインの言葉の紹介します。アインシュタインも「メタ思考」を使っていたのでしょう。
我々の直面する問題は、その問題を作った時と同じ思考レベルでは解決することはできない
アルベルト・アインシュタイン
ではでは。
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