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わかっていても、みんな間違う!?『思考の穴 アン・ウーキョン』

山小屋の本棚

地獄のような猛暑も終わりに近づいてきましたね。

ネットやテレビで毎日、たくさんの情報に触れているわけですが、新しいニュースや話題に触れた時に、皆さんはどんな印象を持ちますか?

「あれくらいなら自分でもできる」「普通に考えたらそんなわけないのに」とか思うことありませんか?

でも、その感想は本当に正しいんでしょうか?

今回はそんな疑問に答える良書を紹介します。

アン・ウーキョン氏の『思考の穴』は、タイトルも気になりますが、表紙のデザインもユニークで私は思わず手に取ってしまいました。

 


まず、アン・ウーキョン氏のプロフィールから

イェール大学心理学教授。イェール大学「シンキング・ラボ」ディレクター。イリノイ大学アーバナシャンペーン校で心理学の博士号を取得後、イェール大学助教授、ヴァンダーヒルト大学准教授を経て現職。

2022年社会科学分野の優れた教育に贈られるイェール大学レックス・ヒクソン賞を受賞。

本書の元となったイェール大学の講義「シンキング」は1年で450名もの学生が受講、イェールで、もっとも人気のある講義の1つとなり、その学際的なスコープと、専門知識に加えて日常での批判的思考スキルを養成できることが賞賛された。

本書著者紹介より

といった感じで、あの有名なイェール大学で人気の講義をされている心理学者ですね。

最近は「○○大学の人気講座!」みたいなアピールの書籍も多いですね。個人的にはそういった言葉に弱いので、つい気になって読んでしまうんですが、結構外れは少ない印象ですね。

今回は本書から、「あぁ、確かに!」とすぐに分かるポイントを2つ紹介します。

それでは、読んでいきましょう!




すぐに自分でもできると思ってしまう

1つ目は流暢性効果と呼ばれる錯覚です。

ウーキョン氏は、講義で人気グループBTSのダンスを生徒に何度か見せた後、実際に踊る志願者を募ったそうです。

その結果、10名ほどが志願したそうですが、実際に踊れる生徒はいなかったとか。

この結果は、何度も同じ物を見て脳内で処理できた事は自分でもできると簡単に錯覚してしまうことが原因と説明されています。

これは誰でも経験ありませんか?

スポーツ選手のパフォーマンスが典型ですが、日常生活で同僚・上司の仕事なんかも、外から見ている分には「あれくらい自分でもできる」と簡単に思ってしまいますが、いざその立場になってみると、意外と経験からくるノウハウが詰まっていたりして上手くできないことがありますね。

そこで、相手の努力や凄さが分かるんですが、この錯覚が大きな影響を与えるのが「時間の取り方」です。過小評価で時間を短く見積もることで、結局間に合わないというパターンが多いようです。

ウーキョン氏も流暢性効果で失敗しないために、「見積もりより50%多く時間をとる」事を勧めています。

見たことがあるだけで、やったことがないことは「絶対に想定よりも時間がかかる」と意識して、早めに取り組みましょう!

賢い人が自信満々にずれていく

2つ目は、確証バイアスです。

これは、一度頭の中に自分の仮説ができてしまうと、それを裏付ける証拠ばかりを集めて、確信してしまうという錯覚です。

ウーキョン氏は、生徒に3つの数字を示して、「この数字の羅列にはどんな法則があるか」を尋ねたそうです。イェール大学の学生ですから、当然頭脳明晰で、本人もその自覚があるので、すぐに仮説を立てて、回答します。しかし簡単には正解できません。

その時の正解は、「前の数字よりも大きい数字の羅列(1・2・3や2・4・6)」という単純な法則だったのですが、生徒らは自ら仮定した複雑な方程式や法則の囚われて、正解にたどり着けなかったそうです。

こうした間違った確信は、日常生活でもよく起こりますね。「あの投資が儲かる」と聞けば、それを肯定するサイトばかりをみたり、逆に「自分の体調不良は、大きな病気からきている」と思えば、体調不安を煽るような記事ばかりをみて確信するような場合ですね。

私も早合点しがちなので、「これは絶対にこうなる!」とすぐに判断して失敗します。これまでに、恥ずかしい思いをしたこともしばしば・・・。

ウーキョン氏は、この罠を避ける方法として「正反対の事を自問する」ことを勧めています。

確認したいことの正反対の質問をすると、逆説的に確認したいことが証明されることがあるという事だそうです。

日常生活で簡単に実践するには、「自分の考えにネガティブな事実がないか」を意識するとよいのではないかと思います。実際、私は今まで知らなかったことを行動に移す時は、ネガティブな面がどこかないか良く確認します。

そうすると、大きな間違いは起こりにくい気がしますね。

まとめ ~だれでも罠にかかる~

今回は、アン・ウーキョン氏の『思考の穴』から、日常生活でかかりやすい罠のその回避方法を2つ紹介しました。

ウーキョン氏は様々な事例を交えて、紹介した錯覚以外にもたくさん説明されているので、イェール大学で人気の講座となる理由がわかります。

私は心理学が好きなので、あっという間に読み終わってしまいましたが、初めて読む方にも分かりやすい内容だと思いますので、「もっと色んな事を間違えずに生きたい!」という方は是非、手に取って読んでみてください。目からウロコの内容も多いですよ。

情報のビッグウェーブに流されないように、思考を鍛えましょう!

ではでは。

 


 

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