新しい年が始まり、2週間程が経ちましたね。
「よし!これから1年頑張るぞ」なんて意気込みながら、生活し始めたわけですが、なんとなくやる気がでない・・・。
こんな時はどうしても、「せっかくやる気を出したのに、なんて自分はダメなんだ・・。」って考えて落ち込んでしまいませんか?
でも大丈夫!
今回はそんな頑張り屋さん達に向けた、良書を紹介します。
今回紹介するのは、タイトル『「怠惰」なんて存在しない』にある通り、「人が怠惰になること」を否定せず、新しい幸福論について書かれています。
まずは、著者のデヴォン・プライス氏のプロフィールから
社会心理学者、作家。オハイオ州立大学で心理学と政治学の学士号を取得後、シカゴ・ロヨラ大学で応用社会心理学とデータ・サイエンスの講義を行う。
ディスカヴァー・トゥウェンティワンHPより
といった感じで、アメリカの社会心理学者です。
本書では、冒頭でプライス氏が本書を執筆した経緯が書かれています。
プライス氏自身もプライス氏の友人も、生産性を求めて限界以上に働いた結果、心身に異常をきたして辛い経験をしたことから、世の中に存在する「怠惰のウソ」について多くの人に知ってもらいたいと感じられたようです。
私自身も「真面目に生きることが正しい」と教えられて生きてきましたが、「怠惰」を肯定するというのはどんな生き方なんでしょうか?ポイントを2つ紹介したいと思います。
それでは、読んでいきましょう!
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怠惰のウソって?
まず最初にプライス氏が説明している「怠惰のウソ」とはなんでしょうか?
「怠惰のウソ」には次の3原則あるそうです。
- 人の価値は生産性で測られる:どんどん仕事をこなさないとダメ
- 自分の限界を疑え:何も成し遂げられずに終わるのはダメ
- もっとできることはあるはずだ:あれもこれもやらないとダメ
確かにこの3つは昔から言い聞かせられてきた内容ですね。私も半ば強迫的な感じでこんな風に人生を考えていた気がします。(だから一度メンタルを病んだのかもしれません・・。)
プライス氏は「怠惰のウソ」は「資本主義や宗教的な価値観から全世界に広まった」と説明しています。
また、「怠惰な人間は悪質な詐欺師であり、苦しんでいても自業自得だという考え方が「怠惰」という言葉ができた当初から埋め込まれている」とも説明されています。かなり強烈な表現ですね。
この辺りは、日本の生活保護者に対する冷たい目にも通じるところがあるような気がしますね。(実際にはそれぞれ事情があるとは思いますが・・。)
プライス氏は自身の母親が、体に不調があっても限界まで働き続けたせいで慢性の腰痛になって苦しんでいると語っています。そして、それは「怠惰のウソ」によって辞め時を認められなかったからだと感じているようです。
そんな自身と家族の経験からも、「怠惰」を肯定しているプライス氏は、どのような人生の過ごし方を勧めているんでしょうか?
怠惰の効果って?
プライス氏が本書で伝えたい根本的な考えは次のようです。
「何もしない、「怠惰」で非生産的な時間を大切にすると、人生の質が劇的に変わる。タスクをいくつ処理できたか、その数で自分の価値を測っている限り、自分にとって本当に大切なことに気づけない。社会から「やるべき」というプレッシャーではなく、本当の気持ちに従って優先順位を決めれば、より自分らしく生きられる」
その中でポイントとなる考え方は「味わう」ことだそうです。
何を味わうのか?
もちろん人生全てですね!
プライス氏はポジティブ心理学者のフレッド・ブライアント博士の研究から、「味わう」とはポジティブな経験をその瞬間に存分に楽しむプロセスだと説明しています。
そのプロセスは
- これからのイベントを楽観的にワクワクして待ち望む
- ポジティブな瞬間の最中には存分に堪能する
- その経験が終わってからも敬愛や感謝をもって思い出す
の3段階だそうです。
フレッド博士の研究によると、「幸せな瞬間は味わうことで幸福度が高まり、体験が終わった後も幸福感が長く続く。(中略)味わう行為をよく行う人は、そうでない人に比べて人生の満足度が高く、気分も前向きであることが多い。」のだそうです。
例えば、ゆっくりと食事を味わうなんて、忙しく働いている人からすると「怠惰」と映るかもしれません。
でも、生産性に囚われながら、美味しい物を食べても感動はありませんね。せっかく作り手が丹精こめて作ってくれた食事をゆっくりと味わうことが、人生に価値を生むということだと私も思います。
某人気テレビ番組「孤独のグ○メ」なんて、もしかしたらプライス氏の薦める理想を描いているのかもしれませんね。
シン・幸福論
今回は、デヴォン・プライスの『怠惰なんて存在しない』から、働き過ぎて人生を犠牲にしないポイントを少し紹介しました。
本書は、プライス氏自身の経験・家族の経験・友人の経験等を踏まえて様々な角度から、「怠惰のウソ」について、否定しまくっています。
それくらい、「世の中間違っている!」とプライス氏は考えているんだと思います。
私も一度メンタルを病んだことから、「何のための人生なんだろう?」と考えたことがあります。そして、プライス氏と同じように「限界まで働き続けないといけないなんて、やっぱりなんかおかしくないか?」とも感じています。
人生はもう少し楽観的でもいいのかなと。
完全に考え方を変えるのはすごく難しいですが、プライス氏が本書の最後に伝えている
自分に優しく、人にも優しくし続けよう!
というのは、例え「怠惰」になれなくても人生を幸福にする1つの方法かなとも思います。
「仕事で頭がいっぱいで、なんか疲れてきた・・」って方には是非手に取って読んでもらいたい一冊です。
成果や見栄えよりも幸福感!
ではでは。
「怠惰」なんて存在しない終わりなき生産性競争から抜け出すための幸福論/ディスカヴァ-・トゥエンティワン/デヴォン・プライス | ||||
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