秋になると夜に月が綺麗に見えます。
アポロ11号が月面着陸したのは1969年ですが、今でも月面探査や宇宙開発の熾烈な競争を各国でしていますね。
アメリカは宇宙軍も創設しました。
昔に比べて宇宙がほんの少し身近に感じられるような気がします。
ごく普通に地上で生活していると、「よし、月に行こう!」なんて気にはならないような気がしますし、行く方法なんて更に途方もないような気がして考えるのを止めてしまうと私は思うんですが、なぜそこまで宇宙へ行くという執念を持てるのか?
今回紹介する書籍『月に向かえ!』は、アメリカの月面着陸計画「アポロ計画」に携わった人たちのインタビューから、「不可能と思われていた事を成し遂げられたマインドセット」について少し紹介したいと思います。
本書著者のリチャード・ワイズマン氏は
リチャード・ワイズマンは、ハートフォードシャー大学で英国唯一の公共心理学教授職を務め、魔法や錯覚、欺瞞、幸運、自己啓発といった心理学を研究した100本以上の学術論文を発表しています。彼は心理学に関する人気書籍(『The Luck Factor』や『59 Seconds』など)を執筆し、世界中で出版されています。また、様々な団体で定期的に基調講演を行っています。
リチャードは心理学をテーマにしたYouTube動画も制作しており、再生回数は8億回を超えています。ソーシャルメディアで最もフォロワー数の多い心理学者の一人であり、インディペンデント・オン・サンデー紙からは「イギリスをより良い暮らしの場所にしている100人」に選出されています。インナー・マジック・サークルのメンバーでもあるリチャードは、ダレン・ブラウンとの共演を含む、数々の舞台やテレビのプロジェクトでクリエイティブ・コンサルタントを務めています。
リチャード・ワイズマン公式サイトより
といった感じで、様々な情報発信や講演もされている心理学の権威ですね。
心理学に興味のある私は他の書籍も気になります。
それでは、読んでいきましょう!
まずはアポロ計画について
最初に本書のインタビューの中心である「アポロ計画」について簡単に説明します。
「アポロ計画」は1962年にジョン・F・ケネディ大統領が、ライス大学での講演時に発表した、「10年以内に人類が月に到達する」という発表をしてから始まっています。
当時はアメリカよりもソビエト(現ロシアと周辺諸国)の方が技術的に優位に立っており、アメリカがまだ宇宙船の発射すら成功させていない中、ソビエトは犬をのせての宇宙飛行まで達成していました。
そのため、アメリカはプライドを傷つけられ、国民の中にも不安感が高まっていたそうです。
そんな中、ケネディ大統領がライス大学で国民に希望を与えるため、宇宙飛行計画である「アポロ計画」を発表したことで状況が変わっていきます。
この発表に感動して多くの若者がこの「アポロ計画」に携わってくることになるのですが、そのメンバーは実は意外な経歴の人が多かったのだとか・・・。
不可能だと考えない人たち
当時は人類が宇宙に行くことで、どんなことが起こるかすら分からない状況ですから、様々な不安や問題点が考えられ、10年以内に達成することは非常に困難とされていたそうです。
宇宙飛行士は様々な試験の結果、過酷な環境でも耐えられる軍人が選ばれましたが、宇宙船の発射や宇宙飛行士の帰還をコントロールする管制官の採用の責任者だったクリス・クラフトという方は、そういったタイプとは別の人材を探したそうです。
クラフト氏は地味な経歴を持ちながら、人生を切り開くことに成功した人に惹かれていたそうです。
その理由は「明るい未来を想像することができ、変化を起こすうえで必要な資質を持っている人物」が必要と考えたからだとか。
そうした選抜をした結果、地方出身者で、家族の中で初めて大学に進学した人が多く選ばれて、平均年齢はなんと26歳という若さだったそうです!
確かに地方から初めて大学に進学した人は未来に向けたハングリー精神というか、努力的な思考を持ちやすい気がしますね。
こうしてクラフト氏が選抜したメンバーは非常に若く、経験は少ないだけに様々なことに楽観的に、それこそ「やればできる!」っといった雰囲気になりやすかったそうです。
「やればできる!」という雰囲気を組織内に持たせることが目標の達成につながることは、私も頭では分かっていましたが、採用する際に未経験者や経験の浅い人材を選んで、目標に突き進むという考え方は驚きでした。
あんな大事業を進めるだけでもプレッシャーがすごいはずなのに、考え方が大胆すぎる!
ただ、本書には何度もワイズマン氏の主張として、「楽観的に考えること、自信を持つことで不可能と思われる目標を達成できる」といったことが書かれています。
でも、どうやって?と思いますよね。
これはワイズマン氏はいくつか説明されていますが、一番分かりやすいポイントをお伝えしたいと思います。
楽観と自信を高めるには?
ワイズマン氏はハーバード・ビジネス・スクールのテレサ・アマービル教授の研究結果を引用し、成功と目標達成には「小さな勝利」が重要だと説明しています。
これは心理学では「進捗の原則」とも呼ばれているそうで、小さな段階を1つ達成する度に自信と楽観性が高まり、それが将来の成功への触媒となって機能するようです。
確かにいきなり大きな目標をみても尻込みしてしまいますが、小さく分割するとできる気がしますね。
私は30歳くらいから初めた登山も趣味にしていますが、いきなり2000~3000mの山には登れないことがわかっていたので、まずは1000m位を目標にトレーニングを開始したら、「なんとか行けそう」という感じになったのを覚えています。そして、今は頻繁でなくても2000~3000mは登れる体力がついてきました。
ワイズマン氏はこの「進捗の原則」はアポロ計画でも有用だったと説明していて、ケネディ大統領が講演した時には誰しも不可能と思っていましたが、月面着陸より手前の計画が少しずつ成功し始めると、どんどん意欲が湧いていったそうです。
俗っぽくいうと「無敵感」といった感じのマインドセットになると、成功がグッと近づくということでしょうか。
この法則はシンプルで分かりやすく、誰でも今取り組んでいる目標に応用できると思いますよ。
まとめ ~不可能を可能にするのはいつでも楽観的な人?~
今回は、多くの人が知っているアポロ11号の月面着陸にスポットを当てて、不可能を可能にするマインドセットを研究・紹介したリチャード・ワイズマン氏の『月に向かえ』から、一番シンプルで明日から実践できるポイントだけを紹介しました。
本書には、今回紹介した「進捗の原則」意外にも心理学的研究を基にした「不可能を可能にするマインドセット」を数多く紹介されています。
ただ、私が本書や実社会での生活から実感することは、「不可能を可能にするのはいつでも楽観的な人」なんじゃないかなということです。
「人生は自分の思った通りになる」というのは何かの書籍で読んだ気もしますが、「楽観的になんとかなる、できる」と思える人がその通りかそれに近い感じで成功していますね。
今、全世界の注目を集めているメジャーリーガー大谷選手なんかは、もちろん本人の最大の努力が根本にあるでしょうが、「自分にはできる」というオーラというか主張が全面に出ていて、周囲の予想を裏切りまくって、本当にその通りに活躍をしていますね。本当に漫画の世界のようですが・・・。
本書に描かれているNASAの関係者は、特別な境遇や運があったわけではなくても「アポロ計画」を実現できたわけですから、私の様な一般人にも希望が持てるような気がします。
なんとなく不安な気持ちになりやすい現代で、少しでも夢や目標の実現に近づきたい人には是非読んでもらいたいと思います。
もっと自信を持って楽観的に生きていきましょう!
ではでは。



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