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本当の聞き上手とは?『聞く力 阿川佐和子』

山小屋の本棚

こんにちは、ゆる登山家です。

とうとう毎朝、車の窓が凍ってしまうくらい本格的な冬になってしまいました。

寒くなってくると、コタツに入りながら読書に勤しむことが多くなってきますね。

今回は、明るい性格と親しみのある会話力で有名なインタビュアーである阿川佐和子氏の『聞く力』を紹介します。

インタビュアーとしてTVでもよく見かける阿川さんは「きっと昔から話すことが好きで、コミュ力が高い人だったんだろうな」と想像していましたが、実はそうではなく色々な失敗を重ねてこられたそうです。

その中で、ご自身が学んだ人の話を上手に聞くためのヒントを集めたものが本書になります。

私自身もそんなに会話を弾ませることができるタイプではないので、すごく参考になりました。

本書の中から聞き上手になる4つのポイントをご紹介します。

それでは読んでいきましょう。


 




自分の話を聞いてほしくない人はいない

1つ目は「自分の話を聞いてほしくない人はいない」です。

確かに「自分は無口」とか「しゃべるのが苦手」という人でも、打ち解けてくると色々なことを自分から話してくれるものです。阿川さんも「口が重い」と言われていた人とのインタビューを気乗りしないながらも行うと、「あの人があんなにしゃべっているのを初めて見た」と言われたことがあるそうです。

私も経験上、初対面で「あまりおしゃべりが得意そうではないな」と感じた人でも何気ない話や趣味の話を少し聞くと、どんどん話をされて驚いたことがあります。

普段無口な人ほど「自分の事を話したい欲」が積もり積もっているかもしれませんね。人間は社会的な生き物ですから本能的にコミュニケーションを求めているのかも、とも思います。

「こいつには少し話してみてもいいかも」と思ってもらうことが聞き上手の第一歩になりそうですね。

会話は生ものと心得る

2つ目は「会話を生ものと心得る」です。

これはあまりピンとこないかもしれませんが、会話中にあまり反応できなかった話題を後で蒸し返しても微妙な空気になることを想像すると分かりやすい気がします。

阿川さんは笑福亭鶴瓶さんと仕事を一緒にした時に番組の編成上、話の流れに沿わない進行を求められたことがあったそうで、番組進行について揉めているところへ鶴瓶さんが「まあいいやないですか、話は生ものやさかいに」とおっしゃったそうです。

その時は鶴瓶さんのおかげで仕事は無事終わったそうですが、その時の「会話は生もの」という表現が記憶に残り、阿川さんは「なぜ人は同じクラシックや演劇を観たり聴いたりするのか?それはその日によってパフォーマンスが違ってそれぞれ感じることがあるからだ」と考えられたようです。

なのでインタビューをする時もあらかじめ内容を決めておかないで、流れに任せる部分もあった方が「あんな話が聞けるなんて」と満足感があることがあるのだとか。

確かにあんまりカッチリとしたかしこまった話では相手も心を開けずに、表面上の会話で終わりそうですね。

慣れないうちはグダグダになりそうですが、「会話は生もの」と思って流れに身を任せてみるのもいい気がしますね。

安易に分かりますと言わない

3つ目は「安易に分かりますと言わない」です。

これは阿川さんが一時期通われていたミッションスクール(キリスト教主義学校)である先生が「他人の気持ちが簡単に分かるはずはない。分かる分かると簡単に言う人を信用してはいけない」という話をされたそうです。

あまりにも人を疑うような話だったため、最初はあまり理解できなかったそうですが、インタビュアーをしているうちに気づきがあったそうです。「大事なことは相手と同じ気持ちなろうとしないことかもしれない。安易に分かるというと傲慢に映るかもしれない」との思いから「分かる」と思うときでも「本当に分かっているか?」と自問自答するようにしているそうです。

確かに返しやすい相槌として「分かります」と言ってしまいそうですが、自分の経験とかけ離れているような事は軽い気持ちで言うと相手の気持ちも白けますね。私もなるべく「分かります」とすぐには言わずに「なるほど」とか「そうなんですか」と言うようにしています。(これでホントにいいのかとも思いますが・・。)

ちょっとした返事でも印象が変わってしまうのがコミュニケーションの難しい所ですが、阿川さんのように自問自答しながら会話をする方が相手にも尊重の気持ちが伝わるかもしれませんね。

相手のテンポを大事にする

4つ目は「相手のテンポを大事にする」です。

これはわたしの経験上からも非常に大事だと思います。

阿川さんは小さい頃からお世話になっていた伯母が入院した時に、退院後の生活について伯母の意見そっちのけで親族や医者と話し合っていたのだとか。その時伯母が怒り出し、「私はとにかく家に帰りたい!」と主張された時に相手にテンポを無視していた自分の態度を反省されたそうです。

高齢者に限らず、人にはそれぞれの会話のテンポがありますのでしっかりと話し合う時は相手が主張できるテンポを意識しないと、「この人は自分の話を聞いていない」と思われてコミュニケーションがそこで終わってしまいます。

私も特に部下と話をする時は、なるべく相手から話が出てくるように口を出すのを我慢して待っています。(イライラすることもありますが・・。)

阿川さんは「我慢大会」と表現されていますが、本当にその通りだと思います。「我慢大会」をした結果、相手も「自分の意見を言った」という感覚を持ってコミュニケーションが深まるのではないかと感じます。

忙しい毎日では少しの時間も惜しくなってしまいますが、「相手のテンポ」を頭の片隅に置いておくとコミュニケーションも少し変わるかもしれませんね。

聞き上手のコツ

今回はインタビュアーとして有名な阿川佐和子さんの「聞く力」から、すぐに意識できそうなポイントを4つ紹介しました。

会話の技術的な要素ではなく、会話する人としての心得的な感じですので私のような口下手な方や仕事でコミュニケーションの多い営業職の方などは参考になるのではないかと思います。

本書には35のヒントが載っていますので、興味のある方は手に取って阿川さんの教訓を学んでみてはいかがでしょうか。

ではでは。

 


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