こんにちは、ゆる登山家です。
ようやく冬の寒気が和らいできましたね。そろそろ気持ちのいい登山日和があるのかなと期待しているこの頃です。
さて、人生を折り返す年齢になると、「今まで色々あったなあ」なんて振り返る日もふと出てきます。
「上手くいったのか?失敗ばっかりだったのか?」といった感じですが、そもそも失敗ってどいうことだろうとも考えてしまいます。
小さなことですが、つい最近も低山を登るときに「ここが山頂だ!」と思い込んで写真をとったら、実は山頂はもう少し先だったということがありました。この場合は下調べが足りず、山頂付近でもよく確認しなかったことが失敗の原因ですが、次の登山では下調べをしようという教訓になります。
「失敗を次に生かせば、失敗じゃない」ということは色々な書籍にも書いてありますが、「失敗はなぜ起こるのか?失敗を活かす人と失敗し続ける人の違いはなんなのか?」という疑問に答えるのが、今回紹介する『失敗の科学』です。
本書は様々な失敗例について、どのように起こったか?原因は?その後の対応は?と検証して、失敗を繰り返さない方法を説明しています。
非常に濃密な書籍なので、すべてをまとめきれませんが少しでも本記事を読まれた方の参考になるように、わかりやすいポイントを紹介したいと思います。
それでは読んでいきましょう。
失敗が起こるメカニズム
過去には某医療系ドラマで「私失敗しないので!」というフレーズで盛り上がりましたが、現実はどんな優秀な人でも失敗をするものですね。
誰が見ても優秀な人が失敗を犯す状況はどんな状況なんでしょうか?
マシュー氏は失敗が起こる状況について、医者やパイロットの実際の事例を取り上げて説明しています。
その中で興味深いのは「完璧な集中力」が小さなトラブルを大きな失敗へと成長させてしまうということです。
マシュー氏によると、小さなトラブルが発生した時の対処が上手くいかなかった場合に、対処をすることに「完璧に集中」してしまい、「時間の経過を忘れ」て取り返しのつかない事故へとつながっていくようです。
確かに本当に集中しているときは時間を忘れることがありますが、集中は優れた仕事にもつながる気がするので「あまり集中するな!」とも言えない気がします。
優秀な人ほど集中力が高いと思われますので、優秀な人の能力を活かしつつ失敗を起こさない方法が必要になりますね。
優秀な人材が集まり、失敗が許されない業界ではどうしているんでしょうか?
医療業界と航空業界の違い
優秀な人材が集まり、なおかつ失敗が許されない業界といえば「医療業界」と「航空業界」がすぐに頭に浮かびますね。
マシュー氏はこの2つの業界について、失敗が起こった時の対応に大きな差があると説明しています。
その中で紹介される考え方が「クローズド・ループ」と「オープン・ループ」です。
クローズド・ループ:失敗や欠陥に関わる情報が放置されたり曲解されたりして、進歩につながらない現象
オープン・ループ:失敗は適切に処理され、学習の機会や進歩がもたらされる
医療業界はクローズド・ループに陥ることが多いそうですが、マシュー氏によると医療業界では「完璧でないことは無能に等しい」という考え方があることが原因とのこと。
個人的には、「医者はエリートであることは間違いないけど、ほんとにそんな価値観が根付いてるの?」と感じて少し怖くなりました・・・。
こうした高いプライドが、失敗によって脅かされる時に「失敗に向き合わずにまわりくどい言い方で話を終わらせようとする(詳しい調査をしない)」ようです。
まぁプライドが高い人ほど自分のミスを認めないというのは、会社員でもありますね・・・。
逆に航空業界はオープン・ループとなっているとマシュー氏は述べています。
海外の航空業界の大きな事故は映画になったりするくらいなので、失敗がないわけではないですが、オープン・ループとされている航空業界はどのように失敗に向き合うのでしょうか?
失敗を繰り返さない姿勢
航空業界では事故発生後に調査チームによる報告があり、改善案が提出されるため、フライトシミュレーターなどで効果を検証されるそうです。
事故後に調査が入ることで、失敗がもみ消されずに次の失敗を防ぐことができるんですね。
航空業界で有名な「ハドソン川の奇跡」は大事故ですが、幸い犠牲者はなく映画化されるほどです。
そんな大事故の当事者であったサレンバーガー機長が次の様にインタビューに答えたそうです。
「大きな犠牲を払って、文字通り血の代償として学んだ教訓を、我々は組織全体の知識として絶やすことなく次の世代に伝えていかなければいけません。」
失敗が起こった後の「姿勢」が失敗し続ける業界(人)と失敗が少ない業界(人)を分ける大きな要因になるということですね。
医療業界と航空業界以外で失敗を繰り返さずに成功している企業はどのようにしているんでしょうか?
とにかく多くの失敗を見直す!
洗剤大手のユニリーバは、多くの失敗を改善して成功している企業だそうです。
その一例として、粉洗剤を製造する過程で使用するノズルの形状に関する成功が取り上げられています。
粉洗剤は液状の原料を高圧噴霧して製造するそうですが、その噴霧ノズルがすぐに詰まってしまい、効率低下してしまうという問題を抱えていました。
流体力学に詳しい専門家チームで熟慮の末に考案したノズルも上手くはいかず、ほとんどやぶれかぶれで生物学者チームに助けを求めたそうです。(生物学者チームの扱いもひどい気がしますが・・)
すると、流体力学の知識が全くない生物学者チームは10個のノズルを少しずつ変更してテストし、わずかに生産性が向上した1つを見つけました。
その後は、発見した1つを更に変更してテストを繰り返し、495回の失敗をした後に既存よりもはるかに効率の良いノズルにたどり着いたそうです。
この事例についてマシュー氏は「生物学者チームが教えてくれたのは、試行錯誤の力だ。あれこそ生物学における進化のプロセスだ。」と説明しています。
「選択の繰り返し」によって適応力の強い個体が残る進化が起こるということですね。
まとめ
航空業界とユニリーバの事例から学べることは「失敗をしっかりと認識し、改善点を次に活かすことで、進化し続けることが失敗し続ける人と失敗から学ぶ人の違いである」ということですね。
本書は非常に多くの失敗事例とそこから教訓を得て成功した業界や人をとりあげています。
私の拙い文章では中々伝えるのが難しかったですが、今回紹介した内容はまだまだ一部のみで、様々な興味深い事例は実際に読んで頂ければと思います。
目からウロコ的な事例もありますので、「できれば失敗を繰り返したくない」普通の会社員に参考になるポイントもたくさんありますよ。
「またやってしまった!」と思わない人生にしたい!
ではでは。
コメント