前回に続き、秋の夜にゆっくりと経営の神様「松下幸之助」について学びます。
松下幸之助が人生の序盤からハードモードの人生を送りながらも、商売について
学び、企業家として歩み始めるところまでを前回紹介しましたが、今回は松下幸之助と
他の成功した企業家と何が違うのかを『幸之助論(ジョン・P・コッター著、ダイヤモンド社)』から
紹介します。
独創的なカリスマ性
松下幸之助の特筆すべき性質は独創的なカリスマ性です。
起業して事業を大きく育てるには強いカリスマ性が必要であり、現代でも故スティーブ・ジョブズや
イーロン・マスクなどの名だたる創業者にはカリスマ性があり多くの人を惹きつけています。
松下幸之助のカリスマ性が独創的というのは、いわゆるビジョナリーカンパニーを欧米企業に先駆けて
目指し実現させたという所にあります。
ビジョナリーカンパニーについては別の機会に紹介したいと思いますが、簡単に説明すると
企業理念を全従業員が強く共有し、求める企業像を追及し続ける企業のことです。
ビジョナリーカンパニーは宗教的とまで言われるほど企業理念を浸透させることが特徴ですが、
松下幸之助も天理教を訪れた際(入信したわけではない)にすべての信者がそれぞれの役割を果たし、
淀みなく物事が進んでいく様子を見学して感銘を受けたことが始まりなのだそうです。
特に経済的な理由でなく真摯に役割を果たす姿が印象的だったようですね。
そして、
「産業人の使命は貧困の克服にある。社会全体を貧しさから救って富をもたらすことにある」と
従業員の前で宣言しました。(1932年)
そして、社是を七つの精神として明文化して社員に毎日の朝会で唱和させて理念を浸透させました。
高い目標を掲げることで社員の意識を高め、やりがいを持ってもらうことが目的と思いますが、
こう聞くとなんだか堅苦しいですし、思想の操作のようで躊躇してしまいそうですが、
私も管理職として働いている中で基本的な考え方は社内で共通していないと成果が上がらないことは
実感できますので、こういう方法もアリなのかと思う部分がありますね。
松下電器には戦中に軍による統制を受け、戦後はGHQによる厳しい規制がかかったことで
業績が苦しい時代がありましたが、戦中に存在感が薄くなった7つの精神を再度取り入れて
再興を果たしましたから、やはりはっきりとした目標というのは組織を率いる上では
重要なのでしょう。
松下幸之助のリーダーシップは経営のみに注力したものではなく、人間の本質について
深く考えて社会に貢献すること目的としていることが分かります。
松下幸之助が1979年に松下政経塾を設立したことも、自分と同じようなリーダーシップを
持った人材に政治の世界でも活躍し、社会を更に良くしてもらいという意図があったのでしょう。
松下幸之助の功績は非常に大きいため、今回はリーダーシップのほんの一部について紹介しました。
最後に松下幸之助が好んでいたという詩を紹介して終わります。
『青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う。薔薇の面差し、紅の唇、
しなやかな肢体ではなく、たくましい意志、豊かな想像力、炎える情熱をさす。
青春とは人生の深い清新さをいう。
青春とは怯懦を退ける勇気、安易を振り捨てる冒険心を意味する。ときには、20歳の
青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけでは人は老いない。理想を失うとき初めて
老いる。』 サムエル・ウルマン
もっと知りたいという方は今回引用した『幸之助論(ジョン・P・コッター著、ダイヤモンド社)』を
読んでみてください!
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